自動車の整備時や給油所で、「タイヤのスリップサインが見えていますよ」と指摘された経験はありませんか？
「スリップサイン」と聞くと少し心配になるかもしれませんが、実際には多くのドライバーがこのサインの意味を正確に理解していないことがあります。
タイヤのスリップサインが見えたら交換のサインとされることもありますが、具体的にどのような意味があるのかを解説します。
スリップサインとは何か
夏用タイヤに限らず、ほとんどのタイヤには水の排出を助ける溝が刻まれています。
この溝の中には、特定の部分が盛り上がっていることがあります。
これらが「スリップサイン」と呼ばれる部分です。
新品のタイヤでは溝の深さが約8mm程度あるとされていますが、使用により徐々に摩耗し、この溝の深さが1.6mm以下になるとスリップサインが目立つようになります。
このサインが見えたら、タイヤの交換時期が近いことを示しています。
スタッドレスタイヤのスリップサイン
スタッドレスタイヤにもスリップサインは存在しますが、こちらには「プラットホーム」という別のサインもあります。
プラットホームは、新品のスタッドレスタイヤの溝の深さが半分になると現れます。
スタッドレスタイヤには1.6mm以下になると現れるスリップサインもありますが、新品から溝の深さが半分になるプラットホームサインにも注意が必要です。
プラットホームが現れたスタッドレスタイヤは雪道では使用が困難ですが、夏タイヤとしてはスリップサインが出るまで使える場合もあります。
ただし、雨天時の路面では効果が低下する可能性があるため、スタッドレスタイヤは基本的に雪道用として使用し、スリップサインが出る前に交換することが推奨されます。
タイヤのスリップサインの発見方法：安全運転のためのチェックポイント
自動車のタイヤは、安全運転のために定期的にチェックすることが重要です。
特に、タイヤの摩耗状態を示す「スリップサイン」を見つける方法を知っておくことは非常に役立ちます。
スリップサインの確認方法はシンプルです。
まず、タイヤの側面にある「三角形の刻印」を探します。
これらの刻印はタイヤの側面に複数あり、メーカーによって異なりますが、一般的には4～9カ所に配置されています。
三角形の刻印を見つけたら、そこからタイヤの最初の溝に直線的に目を向けてください。
そうすることで、スリップサインを見つけることができます。
スリップサインは溝の全てに存在するため、全体的にチェックすることが大切です。
スタッドレスタイヤのプラットホームサインの発見方法
スタッドレスタイヤにもスリップサインはありますが、さらに「プラットホーム」という特別なサインも存在します。
これは、新品のスタッドレスタイヤの溝の深さが50％減少した時に現れるサインです。
夏タイヤと同様に、スリップサインは三角形の刻印を見つけることで確認できます。
プラットホームサインを見つけるためには、三角形ではなく、タイヤの側面やホイールに近い部分にある「矢印の刻印」を探します。
矢印の刻印を見つけたら、最初の溝に向かって視線を移動させてください。
そこに「線が入ったスリップサイン」のようなものが見えるはずです。プラットホームサインは見つけにくいことがありますので、まずはタイヤ側面の矢印を確認することが重要です。
タイヤのスリップサインが現れた時の対応：重要な3つのポイント
タイヤのスリップサインが現れた場合、直ちにタイヤの交換を検討すべきです。
しかし、スリップサインがなぜ重要なのか、それに対応する際に注意すべき3つのポイントを理解することが重要です。
安全上のリスク（事故リスクの増加）
「スリップサインが出た」ということは、タイヤの溝がほとんどなくなっていることを意味します。
乾燥した道路ではまだ走行可能かもしれませんが、雨の日や湿った路面で溝のないタイヤで走行すると、大きなリスクが伴います。
時速40kmではあまり影響がないかもしれませんが、時速80kmでの走行時には、タイヤの溝が半分以下になると制動距離が大幅に長くなる可能性があります。
さらに、ハイドロプレーニング現象が発生するリスクも高まります。
この現象は、水がタイヤと路面の間に入り込み、車が水上を滑るようになり、ハンドルやブレーキの効きが悪くなる現象です。
したがって、スリップサインが出ると危険であるということが一番の問題点です。
法規制への違反
スリップサインは、国土交通省によって定められた「道路運送車両の保安基準」に基づいています。
この基準では、タイヤの溝の深さが1.6mm以上であることが要求されています。
もし警察によって停止され、タイヤの溝が1.6mm未満（スリップサインが出ている）と指摘されると、違反切符の対象になる可能性があります。
スリップサインが出る前にタイヤを交換することが推奨されます。
車検の不合格
スリップサインが出ている車は車検に通りません。
危険な状態の車は車検に合格することはありません。
スリップサインが出ているかどうかは、タイヤの全ての溝をチェックすることで判断されます。
車検の検査官は、ホイールの変形やタイヤのひび割れなども含め、タイヤの状態を細かく確認します。
スリップサインがほぼ出ている状態では、車検に通らない可能性が高いです。
車検の合格のためだけでなく、安全運転のためにもタイヤの交換を検討することが重要です。
まとめ
タイヤのスリップサインについての概要をご理解いただけたかと思います。
もし一本のタイヤだけにスリップサインが現れている場合でも、他のタイヤにも同様の摩耗が生じている可能性があります。
タイヤのスリップサインが明らかになったら、迅速な交換を行うことが推奨されます。
安全な運転を維持するためには、タイヤの状態を定期的にチェックし、必要に応じて交換することが重要です。
特に悪天候の際や長距離運転を予定している場合、タイヤの状態は安全運転において決定的な要素となります。
最終的に、車検に合格することは重要ですが、それ以上に、乗車する際の安全性を確保するためにタイヤ交換を行うことが最優先事項です。
