「お車の発炎筒、期限が過ぎていますね。交換をお勧めします」と、車検時に聞かされたことはありませんか?
多くのドライバーは発炎筒に有効期限があることを知らず、以下のように誤解しています。
期限切れ=車検不合格の可能性
しかし、実は「発炎筒の有効期限が切れていても車検には影響しません」。
ただし、知っておくべき重要な情報がありますので、ここで詳しくご案内します。
自動車用発炎筒の安全規格とその基準
自動車用の発炎筒は、「道路運送車両の保安基準」に基づいて厳密な規格を満たしています。
具体的な基準は以下の通りです。
●夜間200メートル以上の距離から確認できる赤色の灯火
●自発光式
●使用しやすい場所に設置
・運転席や乗降口から直接見えない場所は不可
・取り外し困難な場所は不可
●振動や衝撃による損傷や誤作動がないこと
これらの条件を満たすものが発炎筒として認められます。
発炎筒の性能基準
発炎筒の一般的な性能は、以下のように定義されています。
品名:自動車用緊急保安発炎筒
規格:JIS D5711(日本工業規格)
燃焼時間:最低5分
炎色:赤色
光度:160カンデラ以上
直径:27mm~37mm
長さ:135mm~165mm
重量:100g~120g
薬量:76g~83g
有効期間:4年
これらの基準により、昼間は約600メートル、夜間は約2キロメートル先からでもその炎(光)が確認できるよう設計されています。
車検と発炎筒の相互関係
車検における発炎筒の扱いについて、いくつかの誤解がありますが、実際のところを解説しましょう。
車検では、「JIS D5711(自動車用緊急保安炎筒の規格)」または同等以上の性能を持つ発炎筒が装備されているかどうかを確認します。
ただし、重要な点として、発炎筒の有効期限は直接的な検査項目ではありません。
検査員は発炎筒の存在とその規格適合性をチェックするのです。
では、もし発炎筒が無かったらどうなるでしょうか。
その場合、車検には合格しません。
車検の検査プロセスは、まず発炎筒などの緊急用品の確認から始まります。
発炎筒がなければ、その部分は不合格となり、他の検査項目をクリアした後で発炎筒を装備して再検査を受けることになります。
最終的に、車検では発炎筒の有効期限は直接的な検査基準ではないかもしれませんが、緊急時に使用する必要が生じた際に機能しないリスクを避けるためにも、定期的な確認と交換をお勧めします。
有効期限の確認や損傷の有無をチェックしておくことは、安全運転の一環として非常に重要です。
発炎筒の種類とそれぞれの特徴
発炎筒には大きく分けて、「火薬式発炎筒」と「LED式発炎筒」の2種類が存在します。
ここでは、それぞれのメリットとデメリットを含めて詳しくご紹介します。
火薬式発炎筒の概要と特長
火薬式発炎筒の主要メーカーは「日本カーリット株式会社」と「国際化工株式会社」です。
このタイプの発炎筒は、以下のような特徴があります。
メリット:LED式よりも明るく、価格が若干安い
デメリット:有効期限が設定されており、使用は1回限り、使用可能時間が短く、着火が難しいことがある
サンフレヤーについて
サンフレヤーは国際化工製の発炎筒で、そのバリエーションには小型軽量版の「サンフレヤーACE」や緊急脱出用のガラス破砕具付き「サンフレヤーACE&リリーフ」があります。
製品詳細(サンフレヤー):
メーカー:国際化工株式会社
商品名:サンフレヤー
規格:JIS D-5711
サイズ:長さ138mm×直径37mm
燃焼時間:5分以上
火薬量:約83g
光度:160カンデラ以上
有効期限:製造後4年
ハイフレヤー5の紹介
ハイフレヤー5は日本カーリット製の発炎筒で、より小型の「スーパーハイフレヤー5」もラインナップにあります。
製品詳細(ハイフレヤー5):
メーカー:日本カーリット株式会社
商品名:ハイフレヤー5
規格:JIS D-5711
サイズ:長さ151mm×直径33mm
燃焼時間:5分以上
火薬量:約76g
光度:160カンデラ以上
有効期限:製造後4年
これらの発炎筒は、緊急時に他のドライバーへの警告として重要な役割を果たします。
それぞれの特徴を理解し、適切な選択をすることが推奨されます。
LED式発炎筒の特徴と利点
LED式発炎筒は、「エーモン工業株式会社」と「株式会社小林総研」が主要メーカーです。
このタイプの発炎筒は以下のようなメリットとデメリットを持ちます。
メリット:有効期限がなく、何回でも使用可能、使用時間が長く、誰でも簡単に使用できる
デメリット:昼間の視認性が低い、電池の寿命を確認する必要があり、火薬式に比べて価格が高いことがある
エーモン工業の非常信号灯
エーモン工業の非常信号灯は、赤色LEDを使用した非常灯です。
夜間は約200メートル先からも視認可能で、持ち手にマグネットが付いているため車体に固定することができます。
また、「国土交通省 保安基準認定品」として車検にも対応しています。
製品詳細(エーモン工業の非常信号灯):
メーカー:エーモン工業
商品名:非常信号灯
製品番号:6726
サイズ:長さ150mm×直径33mm(約37mm)
重量:99.8g
電源:単四アルカリ乾電池2本
光度:5カンデラ
連続点滅時間:約20時間
小林総研の非常信号灯
小林総研の非常信号灯は、懐中電灯機能を兼ね備えた非常灯です。
これも「国土交通省 保安基準認定品」として車検対応で、強力マグネットによる車体固定が可能です。
夜間200メートル以上先からの視認性も高いです。
製品詳細(小林総研の非常信号灯):
メーカー:小林総研
商品名:非常信号灯
製品番号:KS-100L3
サイズ:長さ153mm×直径32mm(最大38mm)
重量:108g
電源:単四アルカリ乾電池2本
光度:5カンデラ
連続点滅時間:約20時間
LED式発炎筒は、その使い勝手の良さと繰り返しの使用が可能な点で、多くのドライバーに選ばれています。
発炎筒の適切な処分方法
発炎筒の処分方法は、その状態(使用済みか未使用か)によって異なります。
使用済み発炎筒の処分
使用済みの発炎筒は、火薬類取締法に基づく「玩具煙火」に分類されます。
一般的なおもちゃ花火と同じカテゴリーにあたります。
おもちゃ花火の処分方法としては、使用後に水に浸して消火し、その後燃えるゴミとして処分するのが一般的です。
発炎筒も同様に、使用後は燃えるゴミとして処分可能です。
未使用発炎筒の処分
車検時にディーラーや整備工場で期限切れの発炎筒を交換した場合、これらの施設は未使用の発炎筒も処分してくれます。
LED式発炎筒は比較的簡単に処分できますが、火薬式発炎筒の場合は個人での処分が難しいです。
未使用の火薬式発炎筒を処分するには、ディーラーや整備工場、オートバックスやイエローハットなどの自動車関連店舗に依頼する必要があります。
これらの店舗では基本的に無料で引き取ってくれます。
発炎筒の処分については、安全かつ適切な方法で行うことが重要です。
使用済みか未使用かに応じて、上記のガイドラインに従い処分してください。
発炎筒と車検に関するまとめ
この記事を通じて、発炎筒と車検の関連性についての理解を深めることができたと思います。
多くのドライバーは、運転免許を取得してから一度も発炎筒を使用する機会がないかもしれません。
実際、発炎筒を使用する機会は少ないのが現実です。
しかし、万が一の事態に備えて発炎筒を車内に備えておくことは重要です。
定期的に発炎筒の有効期限を確認し、必要に応じて交換することが推奨されます。
特に、有効期限の心配がなく、何度でも使用可能なLED式発炎筒は、非常に便利な選択肢です。
また、車を乗り換える際には、以前の車に取り付けたLED式発炎筒を忘れずに取り外し、新しい車に移設することも忘れないようにしましょう。
安全運転の一環として、発炎筒の管理と適切な使用を心がけることが大切です。