多くの人が車の購入時に必要とされる車庫証明、この書類は通常自動車ディーラーや中古車販売店が代わりに手続きを行っています。
しかし、この手続きは思いのほか簡単で、自分で行うことを選ぶ人もいます。
特に中古車販売店などの業者はこの書類の取得に慣れていますが、個人の場合は頻繁に必要とするものではないでしょう。
そのため、その書き方を忘れがちです。
車庫証明の作成にはいくつかの要点がありますが、特に「自宅からの距離」が重要な要素の一つです。
これについて、少し記憶にあるかもしれませんね。
今回は、車庫証明を取得する際に重要な自宅からの距離について、詳しく解説します。
車庫証明書取得における自宅と駐車スペースの重要な3つの関係性
車庫証明書とは、その名が示すように、車の保管場所を公式に証明する書類です。
一般的には、駐車スペースは自宅の近くにあることが多いですが、都心部のマンション住民の中には、敷地内の駐車場が満車であったり、料金が高いため近くの低価格の駐車場を利用する人もいます。
この際、自宅と駐車場の距離が車庫証明書に影響を与えることを理解しておくことが重要です。
各県の警察署のホームページに記載されている要件を以下に示します。
●自宅や事業所などの使用地点から駐車場までの距離が2km以内であること。
●道路から支障なく出入り可能で、車全体を収容できること。
●車の保有者が、その駐車スペースを使用する権利を持っていること。
これらの要点を順に説明します。
自宅から2km以内の距離とその測定方法
「自宅からの距離が2km以内」という要件がありますが、この距離をどう測るかは重要です。
実際には、自宅と駐車場を直線で結んだ距離が2km以内である必要があります。
まず、Googleマップなどのオンラインマップを使って、自宅と駐車場の位置関係を確認しましょう。
直線で2kmという範囲は意外と広いことがわかります。
例えば、東京都内なら「東京駅から秋葉原」や「新宿から原宿」などがこの範囲に入ります。
距離の測定方法としては、Googleマップでは地点間の距離がメートル単位で表示されるので、これを利用して距離を確認することができます。
車の入出庫のための基準
「道路から支障なく出入りができ、かつ、自動車全体を収容できること」という条件について、具体的な解説をします。
この条件は、車が周囲に影響を与えることなくスムーズに出入りできることを意味します。
たとえば、何度も車を切り返さなければならない場合や、軽自動車専用の狭いスペースで普通車を駐車することは不適切です。
また、「自動車全体」というのは、車全体を収容できる十分なスペースがあることを指します。
縦、横、高さの各寸法が車に合わせている必要があります。
例えば、立体駐車場や屋根付きガレージなどで、車の屋根が天井に当たる場合は不適切です。
特定の「必要寸法」が定められているわけではありませんが、上述のような一般的な要件を満たしていれば問題はないでしょう。
一般的な駐車スペースのサイズは、横幅約2.5メートル、奥行き約5メートルとされています。
駐車場としての保管場所の権利
「保管場所(車庫)として使用する権限を有すること」という要件は、「自分の土地で駐車場として使用できる場所」、または「他人から駐車スペースとして借りることができる場所」を意味します。
これは基本的な要件のように思われますが、駐車場の使用許可(サイン)を得ることが必要です。
時間貸しの駐車場のような場所は、明らかにこの要件を満たさないため、車庫証明書の取得には適していません。
車庫証明とその距離に関する一般的な疑問
直線距離が2kmを超える場合の取扱い
多くの人が疑問に思うのが、「直線距離が2km以上離れている場合、車庫証明はどうなるのか」という点です。
この場合の答えは明確で、車庫証明は取得できない、つまり「不可」とされます。
では、マップ上で距離がギリギリ2kmだった場合はどうでしょうか。
車庫証明を担当する警察署では、航空地図を用いた距離測定が一般的に行われます。
そのため、Googleマップなどで測定した距離がギリギリ2kmであっても、警察署での測定結果が2km以上である可能性があります。
結局のところ、ギリギリ2km以内の駐車場を選択するリスクを考えると、より余裕を持った距離の駐車場を選択することが賢明です。
2km以内の範囲をしっかりと把握し、適切な駐車場選びを心掛けることが重要です。
会社名義の車の車庫証明と距離の取り扱い
会社名義の車における車庫証明では、やはり直線距離2kmという規定が適用されます。
節税目的で会社名義の車を購入することは一般的ですが、そうした場合に代表者や役員が自宅で車庫証明を取得したいという状況はよくあります。
自宅が会社の近く(直線2km以内)にある場合は、問題なく車庫証明の申請が可能です。
しかし、実際には会社の近くに自宅があるケースは少ないものです。
ただし、以下のような状況では、会社から直線2km以内に自宅がなくても車庫証明を取得できる可能性があります。
●自宅が支店、営業所、工場、倉庫など、会社の施設である場合。
この場合、「自宅がその会社の営業所である」という証明があれば、車庫証明を取得することが可能です。
例えば、「会社名義の住居であることを示す賃貸契約書」や「会社宛の書類や荷物が自宅に届いていること」を証明することで、自宅が営業所として機能していることを証明し、車庫証明の申請時にこれらを添付することが求められます。
ただし、警察署によってはこの方法を認めない場合もあるため、「絶対に取得できる」とは断言できません。
車庫証明の申請書には、以下のように記載します。
●使用の本拠の位置:個人
●保管場所の位置:個人が借りる駐車場の場所(自宅)
●申請者:会社
この方法は、個人事業主や中小企業の役員などに限られる可能性がありますが、選択肢の一つとして考える価値はあります。
実家を車庫として利用することは?
多くの方が「現在の住所近くの駐車場がないため、空きスペースがある実家を車庫として利用しよう」と考えています。
実際には使用していない「使用の本拠の位置」で車庫証明を取得することはできません。
実家の駐車スペースで車庫証明を取得することは可能ですが、これは実家に住んでいる人が車を購入する場合のみに適用されます。
車庫証明における距離の虚偽記載
「実際には2.5km離れているのに2km以内」と記載した場合、警察署での距離測定により訂正を求められることがあります。
このため、最初から正確な距離を記載することが重要で、不正確な記載は二度手間になります。
車庫証明と駐車場距離に関する要点のまとめ
この記事では、車庫証明における自宅と駐車場の距離に関する重要な点を解説しました。
要点は、自宅と駐車場の間は直線距離で2km以内である必要があります。
戸建てに住んでいる方は通常、この問題に直面しませんが、マンション住民の場合は、敷地内に駐車場がないこともあり得ます。
車庫証明を取得する際には、これらの要件を念頭に置くことが重要です。
また、不正確な情報を提出することなく、適切な手続きを行うことが求められます。