多くの人が聞いたことがあるでしょう、「車の寿命は10年または走行距離10万キロ」という話。これは、新車登録から10年が経過するか、10万キロを走行すると、車の状態に問題が生じる可能性があるという考えに基づいています。
しかし、現代の自動車は以前と比べて耐久性が向上しており、10年や10万キロを超えても故障が少なくなっています。
それでも、10年以上経過した車は、車検において特別な対応が必要になるのではないかと考える人も多いようです。
この記事では、10年を超えた車の車検における特記事項や注意点について詳細に解説します。
車検の基礎知識:定義と流れ
一般的には単に「車検」と呼ばれていますが、正式名称は「自動車検査登録制度」です。
この制度は、車両の安全性と法規準拠を確認するためのもので、「車検」という言葉は、この検査プロセスを指して使われています。
初回以降の車検は「継続検査」とも称され、車検と継続検査は同じ意味で用いられることが一般的です。
簡単に言えば、車検は車が公道を走るための適合性を確認し、ナンバープレートの交付や有効期限の更新を行う検査です。
車検は、全国の運輸支局(通称:陸運局)で実施され、さらに国土交通省によって指定された「指定工場」、つまり民間車検場でも整備と検査を行うことができます。
新車を購入した場合、初回の車検は購入から3年後に行われ、その後は2年ごとに車検が必要になります。
中古車の場合、車検の残存期間がある場合もありますが、残存期間がない場合は購入から2年後に車検が必要です。
10年超の車の車検時に注意すべき2つの税金の変動
10年を超えた車の車検では、基本的なプロセスに変更はありませんが、車の年数が増えるにつれ、特定の税金が増加する点には注意が必要です。特に、13年を超えた車には重要な税金の変動が見られます。
さらに、18年を超えると、重量税と呼ばれる車検時に課せられる税金がさらに増加します。ここでは、それぞれの税金の詳細と、かかる金額について見ていきます。
自動車税の変動
自動車税は、毎年4月1日の時点での車検証上の所有者に対し、排気量に応じて課される年間の税金です。毎年5月頃に都道府県税務事務所から納税通知書が送付されます。この税金は、普通車だけでなく軽自動車にも適用されます。
2019年10月から自動車税の体系が変更され、以下のような税率に設定されています。
出典:https://www.car-tax.go.jp/change01/
- 10月以降に購入する新車登録車から、「自動車税」が毎年減税
- 2,000cc以下のコンパクトカーほど減税額が大きく、この排気量では年間最大4,500円、10〜15%程度の毎年減税
新車登録から13年が経過すると、自動車税は以下のように変動します。
排気量 | 13年未満 | 13年経過 | |
2019年9月30日 以前に新車登録 |
2019年10月1日 以降に新車登録 |
||
1,000cc未満 | 29500円 | 25000円 | 33900円 |
1,000cc超1,500cc以下 | 34500円 | 30500円 | 39600円 |
1,500cc超2,000cc以下 | 39500円 | 36000円 | 45400円 |
2,000cc超2,500cc以下 | 45000円 | 43500円 | 51700円 |
2,500cc超3,000cc以下 | 51000円 | 50000円 | 58600円 |
3,000cc超3,500cc以下 | 58000円 | 57000円 | 66700円 |
3,500cc超4,000cc以下 | 66500円 | 65500円 | 76400円 |
4,000cc超4,500cc以下 | 76500円 | 75500円 | 87900円 |
4,500cc超6,000cc以下 | 88000円 | 87000円 | 101200円 |
6,000cc超 | 111000円 | 110000円 | 127600円 |
13年を超えると、自動車税は約4,000円~16,000円ほど増加します。
軽自動車税の変動
軽自動車税についても、13年の経過を境に変動します。
13年未満 | 13年経過 | |
2015年3月31日以前に新車登録 | 2015年4月1日以降に新車登録 | |
7200円 | 10800円 | 12900円 |
こちらでは、軽自動車税が約2,000円程度増額されます。
重量税:車両重量に基づく税金とその変動
重量税、別名自動車重量税は、車の重さ(重量)に基づいて課税される税金です。この税金は車検時に計算されるので、所有者はその金額を把握しておくことが重要です。
重量税の計算は少し複雑で、車がエコカーかどうか、そしてその車が13年未満か、13年を経過しているか、さらには18年を経過しているかによって異なります。
以下は、車両重量別の重量税の金額です。
車両重量 | エコカー | エコカー以外 | ||
13年未満 | 13年経過 | 18年経過 | ||
1トン以下 | 16400円 | 16400円 | 22800円 | 25200円 |
1.5トン以下 | 24600円 | 24600円 | 34200円 | 37800円 |
2トン以下 | 32800円 | 32800円 | 45600円 | 50400円 |
2.5トン以下 | 41000円 | 41000円 | 57000円 | 63000円 |
軽自動車 | 5000円 | 6600円 | 8200円 | 8800円 |
エコカー減税について
エコカー減税は、環境に優しい車(エコカー)に対して、重量税と自動車取得税の負担を軽減する特例措置です。2019年10月1日以降、自動車取得税は廃止され、代わりに環境性能割が導入されました。
エコカーかどうかは、以下の基準により決定されます。
1.令和2年度燃費基準を達成している車両。
2.2018年5月1日~2019年4月30日の間に新車登録され、令和2年度燃費基準150%以上達成している車両。
3.2019年5月1日~2021年4月30日の間に新車登録され、令和2年度燃費基準190%以上達成している車両。
4.2021年5月1日~2023年4月30日の間に新車登録され、令和12年度燃費基準120%以上達成している車両(平成30年排出ガス規制50%低減以上に限る)。
5.令和12年度燃費基準60%未満の車両(平成30年排出ガス規制50%低減以上に限る)。
2から4に該当する車両は免税措置(2回目以降は本則税率適用)、5に該当する場合は13年未満車と同等の税率が適用されます。
10年以上経過した車の車検についての誤解と実情
10年以上経過した車に関する車検の頻度について、一部の方々は「1年ごとに必要」と誤解していることがありますが、実際は10年を超えても車検は2年に1回という周期で変わりません。
では、10年以上使用している車が車検を受ける際に、どのような点が異なるのでしょうか。
主な変更点は以下の2つです。
●重量税の増額(13年以上):
重量税は、新規登録から13年が経過すると増額されます。
●消耗品の劣化による修理費用の増加:
10年以上の使用により、消耗品の劣化は避けられません。例えば、サスペンションなどの部品が劣化して修理が必要になることがあります。
中古車を購入した場合は、車検証に記載されている「初度登録年月」を確認することが大切です。
これにより、重量税の増額が適用されるかどうかを判断できます。
10年以上経過した車の車検に関するまとめ
10年以上使用した車の車検に関する要点をまとめると、車検の頻度自体に変更はありませんが、13年を超えると重量税が増額される点に留意が必要です。また、消耗品の劣化による追加の修理費用も考慮する必要があります。
現代の車は10年以上の使用が一般的であり、多くの車がこの期間を超えても運用されています。愛着を持って長く乗り続けたいと考える方も多いですが、税金が増額されることを考慮すると、維持コストについて考える必要があるでしょう。